Web 発行ウィザードは、 マイクロソフトが作った 送信専用の FTP ソフトです。Internet Explorer などのいくつかの製品に セットでついてきます。たぶん、
[スタート]→[プログラム]→[Internet Explorer]→[Web 発行ウィザード]
または
[スタート]→[プログラム(P)]→[アクセサリ]→[インターネット ツール]→[Web 発行ウィザード]
という順番でメニューを選ぶと起動することができます。Web 発行ウィザードは オプションなので、Internet Explorer とかがあるのに Web 発行ウィザードはない という場合は、Web 発行ウィザードを改めてインストールする必要があります。 それ以外で手に入れたい場合はマイクロソフトのページからダウンロードすることが できます。
Web 発行ウィザードは、ファイルの送信を自動的にやってくれるソフトです。 「このフォルダにあるのを、こっちに送っておいてね」というだけで、 あとはかってに送ってくれるのです。だから人間の目から見ると、 「丸ごと送ってる」ように見えるのですが、FTP の規格ではそんなことはできないので、 Web 発行ウィザードも、裏ではやっぱりファイルをひとつずつ送っているのです。
普通はそんなことを気にしなくても使えるように作られているわけですが、 一度その「からくり」を知っておけば、ちょっと違ったことをしたいときにも 応用がきくというものです。その「からくり」を説明しましょう。
Web 発行ウィザードのしくみを知るには家の引越しを考えてもらうのが わかりやすいと思います。ホームページを公開するには、そのデータがなければいけません。 そこでいったん自分のコンピュータにデータを作っておいて、 あとでサーバに「引越し」する、という手順を踏むのです。
引越しするときは、普通、引越し屋に「この荷物は新居のこの部屋に運んでください」 というように頼んでおきます。でも、ホームページを更新する度に、ファイル 1 つごとに 「これはここに運んで」なんていうのでは大変ですね。そこで Web 発行ウィザードは、 「暗黙の前提」をしています。それは、今の家も新居も、同じ間取りである、 という前提です。家の引越しではそんなことはまずありませんが、 コンピュータのディレクトリなら自由に作れるので、引越し先に 同じ部屋 (ディレクトリ) がなければ、作ってしまうことができるため、 それほど困らないのです。
したがって、引越し元と引越し先を指定してやれば、あとは Web 発行ウィザードが 荷物をひとつずつ「これは前の家では居間にあったから、新居でも居間におけばいい」 といった具合で、すべての荷物がうまく運べるのです。これが、Web 発行ウィザードが 「お手軽カンタン」な理由なのです。
さて、その「引越し元」と「引越し先」ですが、どうやって指定すれば いいのでしょうか。それには、 この「FTP 入門」の 2 ページ目で書いた、 「ディレクトリ」という考え方を使います。引越しの例でいえば、 引越し元は「神奈川県横浜市緑区常盤台1丁目2番地3号」、 引越し先は「東京都八王子市千人町45-789」といったように 家の場所を指定すればいいのです。例えば僕の場合、引越し元は 自分のコンピュータの「D:\sardine\site\」というディレクトリで、 引越し先はプロバイダのコンピュータの 「http://www2.airnet.ne.jp/sardine/」というディレクトリです。 Web 発行ウィザードは、この 2 つのディレクトリを教えれば、 あとはやってくれるというわけです。
実際の設定でいうと、「URLとディレクトリの指定」という画面で
指定します。その画面の、「ローカル ディレクトリ」が引っ越し元、
「URL またはインターネット アドレス」というのが引っ越し先にあたります。
この画面が出てくるのは設定作業の中でも最後の方なので、ちょっと戸惑いますが、
引越しをうまく行なうことを考えると、設定の中では最も大事なところだといえます。
ここを間違うと、今住んでいる県ごと新居に引っ越したり、完全に間違えると
全然関係ない家を、しかも誰かの住んでいる家に引越しさせてしまったり
するわけです。
じゃぁ最初に聞かれる「ファイルまたはフォルダ」ってのは
なんなんでしょうか。実はですね。Web 発行ウィザードは、家 1 軒丸ごと引っ越す
だけではなく、1 部屋だけとか、家具 1 つだけとかを指定して運ばせることが
できるのです。ただし、この場合も、いまの家と新居の指定は変えません。
変えてもいいのですが、そんなことをしなくても、「引越し先の家はここ。
引越し先の家はここ。ただし今回は子供部屋だけ運んで」と頼めるのですから、
変える必要はありません。
家全体を引っ越す場合は、最初に「ファイルまたはフォルダ」を指定するときに、 その家 (ディレクトリ) 全体を指定すればいいのです。この場合は、 「ファイルまたはフォルダ」と後で聞かれる「ローカル ディレクトリ」が 同じになります。
まとめると、次のようになります。
送りたいもの→ | ホームページ全体 | 1ディレクトリ | 1ページ |
---|---|---|---|
ファイルまたはフォルダ | 送り元ディレクトリ名 | 送り元ディレクトリ名 | 送り元ファイル名 |
URL またはインターネットアドレス | 送り先 (全体) のアドレス | ||
ローカルディレクトリ | 送り元 (全体) のディレクトリ名 |
全体を送る場合については 画面つきの説明も用意したので活用して下さい。
ちなみに、Web 発行ウィザードでの「ファイルまたはフォルダ」の指定では、 1 度に 1 つのファイルやフォルダしか選べません。ですから、2 つ以上のファイルや フォルダを送りたいときは、ひとつずつ送信することになります。どうしても まとめて転送したいときは、転送したいファイルやフォルダを複数選んで、エクスプローラから Web 発行ウィザードにドラッグすれば OK です。
それから、引越し元のディレクトリ (「家」) の外にあるファイルやフォルダを 引っ越し先の「家」の中にうまく送るのは、少し面倒になります。上の 3 つの設定項目の、 おそらく 2 つまたは 3 つを書き直す必要が出てきます (実際にどうやるのかは 考えてみてください)。それよりは、一度引っ越しもとのフォルダに入れてから 送信する方がカンタンでしょう。
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